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森林持つ企業、評価高く (市場点描) マーケットの話題

菅義偉政権は2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げる。18日の施政方針演説では温暖化ガス排出に価格をつけるカーボンプライシング(CP)に言及。世界的にも炭素税や排出枠取引の導入が進む。岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは「二酸化炭素を吸収する森林を多く保有・管理する企業の評価が高まる」とみる。

既に炭素税を導入してきた欧州では森林を多く保有する企業のバリュエーション(株価評価)が上昇している。欧州製紙大手のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)に対する時価総額の倍率は、フィンランドのUPMキュンメネが12倍台、ストラ・エンソは9倍台と、王子ホールディングス(4倍台)を大きく上回る。

ストラ・エンソのEBITDAは11年度以降、王子HDと同様に推移してきたが、時価総額は王子HDの2倍の規模に膨らんだ。「企業のもつ森林価値が反映されてきた可能性がある」(松本氏)。日本では王子HDのほか、住友林業や日本製紙などが保有・管理する森林の面積が広い。CP制度の導入で非財務情報の森林価値が評価される可能性があり、新たな環境関連株として注目を集めそうだ。

2021/01/21  日本経済新聞 朝刊  19ページ  492文字  PDF有  書誌情報

 

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