日本政策投資銀行は再生可能エネルギー事業者と組み、風力発電専門の投資ファンドの事業を始める。稼働済みの発電設備を買い取り、事業者が売却で得た資金で新しい発電設備を建設できるようにする。資金力に乏しい企業も参入しやすくして再生エネの普及を後押しする。
風力発電は政府が掲げる2050年の温暖化ガス排出実質ゼロの実現で重点施策。大手電力や商社なども手掛けているが新規参入の事業者の拡大も普及のカギを握る。
政投銀は再生エネを使った発電を手掛けるグリーンパワーインベストメント(GPI、東京・港)と連携し、約530億円のファンドを設立した。政投銀が約130億円を出資し生命保険や地方銀行なども参加した。
ファンドはGPIが運営する3つの風力発電所と2つの太陽光発電所を買い取った。発電能力は合計約22万キロワット。GPIは既存設備の売却で得た資金を新たな風力発電所の建設に充てる。
GPIは新たに北海道の洋上風力や岩手県の陸上風力の着工を計画している。将来的に原発5基分に相当する約500万キロワットまで拡大する方針だ。1カ所あたり数十億~数百億円の建設費が必要な投資の回収には時間がかかる。ファンドへの売却で早期に現金化できれば銀行からの借り入れを増やさず事業の拡大ペースを加速できる。
政投銀はGPIで新たな発電設備が完成するたびに新たなファンドを立ち上げる方針だ。
2021/01/16 日本経済新聞 朝刊 1ページ 583文字 PDF有 書誌情報